2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス?

とはいえ、疥癬について情報が不足する中で、今まで使ったことのない、しかも毒性が強いという薬をはじめて使ったスタッフの気持ちがわからないでもない。 私も「六一〇ハップとオイラックスでは集団感染はなかなか制圧できない」とアドバイスされ、はじめて…

とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス? その2

γ-BHCは疥癬治療薬の中でも比較的毒性が高く、使用に当たって注意が必要な薬剤である。とは言っても、前述の「上半身/下半身」分割塗りで中毒が防げるという科学的根拠(医学関係では「エビデンス」という言葉が好んで使われる)はない。 こんな方法をとるよ…

とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス? その1

この事例は以前疥癬対策の混乱状況について調べようと、いろいろな施設の疥癬対策事例を集めていたころ、ある団体の事例検討会の記録で見つけたものである。そのため筆者は、当事者に直接話を伺ったわけではないが、あまりに「独創的」だったので報告させて…

今日の更新休みます

今日の更新休みます。

蔵王に行ってきました

今日はダニの話はお休みです。なぜか無性に田舎蕎麦が食べたくなり、奥羽山脈を越えて山形に行ってきました。帰りは蔵王から遠刈田温泉に抜けて帰ってきました。蔵王の上は沢筋に残雪がまだありました。

トホホな疥癬対策 事例その1 makikuni自身のトホホ(2)

今から思えば、埃なんか見ていないで、患者の皮膚を見て疥癬トンネルがないか見るべきだったのだ。しかし、当時の私は疥癬トンネルを医学図譜でしか見たことがなかったし、長期にわたりオイラックスと六一〇ハップを使用していたためにかぶれてしまった入所…

トホホな疥癬対策 事例1 makikuni自身のトホホ(1)

実はこの事例に筆者が関わり始めたのは騒動の初期からではなく、疥癬騒動が起こってから約2ヶ月が経過してからだった。今から思えばその時点で、オイラックスと六一〇ハップ(前にも書いたが、私は今となっては六一〇ハップを治療薬とは認めていない)を長期…

トホホその2

事例1 患者さんのシーツや居室の床からヒゼンダニを検出しようとした話 これは筆者がはじめて疥癬と接近遭遇したときのことである。連載第一回でも書いたように舞台は1996年の秋、当時勤めていた自治体立の特別養護老人ホームだった。同ホームは開所してま…

トホホな疥癬対策 その1

長々と感染症対策についてかたい話ばっかりしてきたので、ちょっと息抜き(?)を・・・筆者が見聞きした、「う〜ん、気持ちはわかるよ、もっともらしいもんね〜。でも間違っている(or意味がないor効かない)んだよね〜」という、トホホな疥癬対策の事例を挙げ…

感染症対策におけるハウツーの限界 その2

昨日からのつづき。介護職が感染症について医療職に判断を委ね、指示を待とうとしがちなのには、私たち医療職が長い間他職種に対して取ってきたパターナリスティックな態度も関係しているのだろう。他には介護職が感染症をはじめとする医学的知識を学ぶ時間…

感染症対策におけるハウツーの限界 その1

ここ何日か(雑談で脱線した日を除いて)疥癬だけにとどまらない感染症の一般に関する基礎知識について解説している。前回は感染症予防の面から見た高齢者施設の特性について書く予定だが、その前に、makikuniが高齢者福祉に携わる方々に感染症の基礎知識を…

ヒト以外の疥癬

ヒゼンダニというのはとりつく動物種の選り好みがはっきりしていて、ヒトのヒゼンダニはヒトの体表でしか繁殖できませんし、動物のヒゼンダニはヒトの体表では繁殖できません。だから実験室で動物にヒト疥癬にかかってもらうわけにはいきません。疥癬につい…

ツツガムシ

makikuniは月に一回県の感染症統計を見てディスカッションする、感染症情報解析委員会という会議の末席に名を連ねております。makikuniの他には微生物学・小児科(麻疹とか、小児科は感染症を多く扱う専門科です)・感染症内科等の先生と、県庁で感染症対策…

高齢者施設と感染症 その2

加齢と感染症 高齢者施設の入居者の特徴は(あたりまえだが)高齢であることだ。では、年を取ると人の感染症に対する抵抗力(免疫)はどう変化するのだろうか? 免疫というのは病原体から身を守るために人の体に備わっている防御機構である。ごく大まかに説…

高齢者虐待事例検討会

今日は市役所で高齢者虐待の事例検討会に出てきました。二事例提示頂き、ディスカッションしました。不満のこれから二ヶ月に一回行う予定です。二事例とも阿鼻叫喚の問題が持ち上がっている訳でなく、プチ虐待という感じでした。担当者の方が家族間の微妙な…

感染症と高齢者施設 その1

今回と次回は「感染症の基礎」の第2弾として、感染症のリスクという面から高齢者施設を考えてみたい。読者の皆さんの大部分は高齢者施設でお仕事をされているのだと思うが*1病院と老人ホームでは共通する点が多い。たとえば他人の援助を必要とした人々が集…

介護保険で介護負担はどう変わったか?

今日は学生さんと飲み会があってへろへろのため更新休もうと思ったけど、がんばってちょっと更新します。学部の学生さんとケアマネさんにインタビューしてきました。介護保険導入で介護者の負担に変化があったか、というお題です。 今日インタビューしたケア…

感染症の基礎知識 その2

たとえ病原体が体内に侵入定着して、「感染が成立」しても、病気になるとは限らない。病原体が体内に侵入して定着・増殖しても症状が出ない不顕性(ふけんせい)感染という状態がある。発病しないのは発病するために必要な数まで病原体が増えられないからだ。…

感染症の基礎知識 その1

以前ある高齢者施設の管理者が「感染症管理のキホン中の基本」がわかっていなかったと書いたが、感染症の基本とはどんなことなのかについては説明を省いた。そこで今回から何回かに分けて、高齢者施設で働く皆さんに知っておいてほしい感染症の基礎知識の解…

介護保険が始まって介護負担感は変化したか?

今日は疥癬のネタをアップしようと思っていましたが、職場にネタを置いてきてしまったので関係ないネタを書きます。 アメリカの老年学大学院で一緒に学んだ友人からメールで「2000年に介護保険が導入されて家族介護者の負担感は減ったと思うか?」という質問…

ケア記録はリスク管理の基本の「き」

「老人ホームは生活の場であり、医療モデルは適合しない」とはいっても、前回述べたように実際には病院とあまり変わらないような重症者が入居している施設も多い。それにたとえ重症者がいなくても「自宅で生活を続けることが困難になった高齢者を集団でケア…

ケア記録と感染症管理

このブログの「疥癬患者が見つかったら」のエントリーhttp://d.hatena.ne.jp/makikuni/20060420/では、疥癬の集団発生が疑われたら、まず行うべきことは、入居者の皮膚チェックだと述べ、同時に過去三カ月以内の退所者までさかのぼって皮膚に異常があった者…

ケア記録と感染症管理

前回は筆者がとある高齢者福祉施設で見た「転倒による外傷予防のための雑魚寝部屋」を例に、医療関係者の目で見ると介護施設には「高齢者の集団生活」というリスクに対応できていない面があることを指摘した。筆者が今まで病院、特別養護老人ホーム、有料老…

マニュキュア

七つ道具のシリーズではmakikuniが疥癬の調査に行く際に持って行くモノを紹介していくつもりです。透明マニュキュアもその一つ。用途はヒゼンダニ標本の保存です。大滝倫子先生に教えて頂いた使い方です。 疥癬の検査をする際には患者さんの皮膚を一部採取し…

高齢者が集団で暮らすことのリスク:公衆衛生の観点から

今回と次回は筆者が疥癬対策などを訪問して感じた、高齢者施設の問題点について書きたい。医療者の目から見て改善すべき点、とくに健康問題に関する危機管理の視点から現在の高齢者施設が抱えるネガティブな面を指摘する。 高齢者施設と病院の違い 私は医者…

今日の更新はお休みします

ゴールデンウィーク明けまでにやらなくてはいけない仕事ができてしまったので、今日の更新はお休みします。

顕微鏡

この間はおもちゃの顕微鏡でヒゼンダニを見る!という記事を書きましたが、今日はおもちゃでない顕微鏡の話です。 写真の顕微鏡はかなり古いです。たしか昭和40年代の製品だったと思います。古すぎて廃棄処分になったのを頂いて、検査用の顕微鏡がない施設に…

職業感染 相談例から

労災とか、職業感染というと小難しくてとっつきにくいだろうと考え、以前私が受けた相談と、それに対する回答を例に出す。読者のみなさんの勤務する施設でも、遭遇する可能性が高く、普段から考えておかなくてはならない事態だと思うのだが、どうだろうか? …

職業感染としての疥癬

はじめに 前回まで疥癬の治療に使用する薬剤について解説したが、今回から趣を変えて、疥癬が介護や看護の現場に与える社会的なインパクトに関して述べたい。一回目は「労災」という視点から、疥癬について考えてみよう。 疥癬がケアの現場に与えるインパクト…

立山でのi-modeによる更新

4/30-5/3の間北アルプス立山に山スキーに来てます。ためしに携帯電話からの更新を試みましたが、宿泊していた山小屋周辺は送受信状況が厳しく、写真のような屋外から送信しました。