顕微鏡

年代ものの生物顕微鏡

 この間はおもちゃの顕微鏡でヒゼンダニを見る!という記事を書きましたが、今日はおもちゃでない顕微鏡の話です。
 写真の顕微鏡はかなり古いです。たしか昭和40年代の製品だったと思います。古すぎて廃棄処分になったのを頂いて、検査用の顕微鏡がない施設に疥癬の調査にうかがう際などに持参しています。光源は鏡でしたが、頂いた際には鏡の台座のみで肝心の反射鏡が紛失しており、他の廃棄処分になった顕微鏡のものを拾いました。また電池式の光源も中村理科工業http://www.rika.com/から購入して、便利に使っています。
 私は顕微鏡には詳しくないんですが、このようなタイプは「生物顕微鏡」と呼ばれているらしいです。プレパラートを下から照らして透過光で観察します。双眼鏡のように接眼レンズが2つついていて、ダイヤルをまわすとプレパラートを載せる台が水平2方向に動く、「メカニカルステージ」という機構がついていて、接眼レンズは10倍、4・10・100倍の対物レンズという組み合わせが多いと思います。
 同じ理系でも学部によっては他のタイプの顕微鏡(実体顕微鏡とか偏光顕微鏡とか)が使われているらしいですが、医学部では光学顕微鏡=生物顕微鏡と考えられています。私も学生時代の実習で、こういったタイプの顕微鏡で細菌を染色して見たり、生物組織のプレパラートを見ていました。そんなわけで私はすべての顕微鏡にはメカニカルステージがついているものだと思っていましたが、知人の記憶では高校の生物実習で使った顕微鏡は単眼でステージ上でプレパラートを手で動かしていたそうです。う〜んそうだったっけ?
 この顕微鏡も型こそ古いですが、ちゃんとした生物顕微鏡の特徴を備えています。疥癬の病原体であるヒゼンダニは、成虫メスで0.4mmとヒトの病原体としてはかなり大きい方なので生物顕微鏡の最低倍率である40倍の拡大で、特別な染色もなしに十分観察できます。だからこそ「おもちゃの顕微鏡でも十分検査できる」といわれているんでしょう。機会があれば中学生や高校生の理科の実習用の顕微鏡(接眼部が単眼で、メカニカルステージのないやつ)でヒゼンダニを観察して、本格的な生物顕微鏡での見え方と比較してみたいと考えています。