学習用顕微鏡は疥癬の診断に役立つか?

施設等に往診に行くときに、生物顕微鏡は箱込みで10kg以上と重すぎて、車必須なので、お手軽な子供向け顕微鏡(学習用顕微鏡というらしい)を試しに買ってみました。こういったたぐいのものにはよく付属しているピンセットとかの「解剖セット」とか、試しに眺める用の葉脈なんかのプレパラートセットとかは、一応プロだから不要なので。Amazonでレビューの良かったビクセンSB-500です。http://www.vixen.co.jp/product/micro/standard/210404.htm ビクセンは高校時代の部活動が地学部天文班で、当時から親しんでいたメーカーです(バイトして買った天体望遠鏡はタカハシ光学ですが)。ステージに医療用のプレパラートがちゃんと載るかどうか、ヨドバシカメラで実機をチェックして購入しました。

学習用顕微鏡 使ってみた結論

疥癬の診断にメカニカルステージは必須で、学習用顕微鏡では難しいです。また治癒判定には使えません。通常疥癬の患者さんに寄生しているヒゼンダニは数が少ないので、低倍率でカバーグラス状をくまなく走査しなくてはならず、メカニカルステージは必須です。今回機会がありトライしましたが、メカニカルステージのない学習用顕微鏡でヒゼンダニを探すのは至難の業で、見つかりませんでした。プロ用生物顕微鏡で見直したら、プレパラート一枚に、幼虫が一匹だけ、卵の殻が4個だけありました。
ただ「この患者さん、通常型疥癬?角化型疥癬?」と悩んだときには使えるかもしれません。学習用顕微鏡でヒゼンダニが容易に、多数見つかるなら、角化型の可能性があります。逆に、なかなか見つからないなら疥癬だとしても角化型ではないかも(どこから検体を採取するか?も、結構慣れを要するのではありますが・・・)