とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス? その1

 この事例は以前疥癬対策の混乱状況について調べようと、いろいろな施設の疥癬対策事例を集めていたころ、ある団体の事例検討会の記録で見つけたものである。そのため筆者は、当事者に直接話を伺ったわけではないが、あまりに「独創的」だったので報告させて頂く。その事業所の名誉のために付け加えると、今から10年くらい前のものなので、その後マニュアルを改訂されたことと思う。
 患者さんは当時90歳代の高齢者で、認知症のため徘徊が見られた。三世代同居世帯で在宅ケアを受けていたが、夏頃から発疹が出始めた。秋になって主治医から疥癬と診断され、γ-BHCオイラックスを処方された。治療開始1〜2日目は自宅で訪問看護師がオイラックスを塗布した。
 ここまではともかく、私が驚いたのはこの後である。第3日目からはデイサービスに場所を移して入浴した後、上半身にγ-BHC塗布、下半身にオイラックスを塗った。第4日目もデイサービスで、全日とは逆に上半身にオイラックス、下半身にγ-BHCを塗ったそうである。・・
 私はこの治療法の意図するところがわからなかったが、この事例検討会を聞いていた熱心な看護師さんの書き込みがあった「全身に塗ると身体に負担がかかる」!!!う〜ん、学会発表ものの新理論だ!
本稿続きます