マニュキュア

 七つ道具のシリーズではmakikuniが疥癬の調査に行く際に持って行くモノを紹介していくつもりです。透明マニュキュアもその一つ。用途はヒゼンダニ標本の保存です。大滝倫子先生に教えて頂いた使い方です。
 疥癬の検査をする際には患者さんの皮膚を一部採取して、プレパラートに載せ、水酸化カリウム(KOHまたは顕微鏡検査用に調整された角質溶解剤「ズーム」)を数滴垂らしてカバーグラスをかぶせます。しばらく置いて角質が溶解するのを待ってもよし、待てなければアルコールランプであぶって角質を溶かします。アルコールランプのない時はライター(100円ライターでもOK)を使用します。ただしライターだとプレパラートの裏に煤が付くので拭き取る必要があります。冷める前に焦って拭くとやけどしますのでご注意を(makikuniは一度水ぶくれを作りました)。角質が解けたら顕微鏡で観察します。ダニが見つかったら、見たことのないスタッフに見せてあげます。ドクターや検査技師さんなど、今後その施設で検査をすることになりそうな人には特に念入りに教えます。
 さてマニュキュアの使い方ですが、カバーグラスの周りに塗って、標本の水分が蒸発しないようにします。ヒゼンダニのプレパラートはKOH溶液を垂らしてカバーグラスをかけただけですから乾燥しちゃうんですよ。乾燥すると、KOHの結晶が析出してすごく見にくい標本になります。カバーグラスにマニュキュアを塗れば不完全ながら封をすることができ、乾燥を防いで見ることが出来る期間が延びます。プレパラートが入る小さめのタッパーに入れて、水を含ませて絞った綿を入れ、湿度を保つようにするとさらにグッドです。しかし残念ながら、この方法を使っても保存できるのはせいぜい1週間くらいで、長期間の保存はできません。