再発か新規の感染か?:2に対するお答え

今回ヒゼンダニがどこから来たか?を施設の視点で見ると、2つの可能性が考えられます。一つは貴施設に外部から新規に疥癬が持ち込まれた場合と、施設内で潜んでいた場合です。現在疥癬は全国的に流行していますので、外部から再度持ち込まれる可能性も充分…

疥癬発生の季節変動:1に対するお答え

疥癬発生の季節変動については諸説あって定説はありません。疥癬は人から人にうつる感染症で、環境中に潜んでいるわけではないので、季節変動があるとすれば人の行動(性行動とか、体を寄せあって暖を取るとかの行動)によっておこると考えられます。そう考…

疥癬Q&A

今回からしばらく「疥癬パニックからの脱出」本編終了後に掲載されたQ&Aを掲載していくことにする。 質問当施設では昨年5月に疥癬の集団発生が起きましたが、職員の努力で半年ほどかかってなんとか終息させることができました。しかし今年の5月にまた2人…

受診に当たって医師に伝えたいこと

他の皮膚疾患はあるのか? 「従前から持病として皮膚疾患があったかどうか」も重要である。たとえばアトピー体質の人が疥癬にかかると、アトピーが悪化して重症の疥癬に見えたり、ダニの死滅後も皮疹が長めに残ったりすることがある。そのような場合、もとも…

疥癬を疑って受診する際に医師に伝えたいこと

周りの人はどうか? 疥癬は感染症だから、「周囲の人(入所者だけでなく職員も)に同様の発疹が出ているかどうか?」が診断に際して重要である。たとえば「1ヶ月ほど前から施設内の他の入所者にも皮疹が出てきた」という話は、疥癬の診断に際して、重要な疫…

反省:生活習慣について&疥癬パニック

東京と福島の間を行ったり来たりしながら講義準備とかいろいろしてるうちにブログにさぼり癖がついてしまいました。反省・・・。現在生涯ン十回目のダイエットをやりつつ、論文執筆中なんですが、食習慣・運動習慣・ブログ習慣(そんなんあり?)などの生活習…

今日は明日の研究検討会の準備をしていて午後10時頃まで大学にいました。今年の10月に富山市で行われる学会(日本公衆衛生学会総会)で発表するネタの仕込みをしてました。お題は今年も疥癬です。発表前のネタなので、まだ書けませんが、いずれはアップした…

疥癬を疑って受診する場合に医師に伝えるべきこと

高齢者施設の職員である読者のみなさんが、疥癬について医師に相談する状況を考えると、多くの場合は入所者の方に皮疹が出て、疥癬を疑った場合だと思う。前回は疥癬について医師に相談する際に、「知っておくと役に立つかも?」という医者サイドの事情をお…

医師とのつきあい方 その5

当ブログで以前に述べたように、日本では疥癬の治療薬の多くが保険適応外である。そのため、薬に関する情報も不足している。makikuniもはじめて疥癬に取り組んだ際に情報が少なくて難儀した。受診する側の立場としては疥癬の疑いがあったら、なるべく早く効…

外国語の水曜日

ネット上の書評を読んで、黒田龍之介氏の「外国語の水曜日」を読みました。Amazon等の書評にもあるとおり、外国語を学ぶことに関連した興味深いエピソードが満載です。来月末に講座に中国から留学生が来るので、日本語教育の本を読んでみようかと思うと同時…

ツツガムシ病

以前ツツガムシ病についてご質問を頂いた先生からまた宿題をいただきました。「ツツガムシ病に二回かかることがあるか」というものです。結論から言うと、ありうるそうです。ツツガムシ病は国の感染症発生動向調査で全数把握疾患(診断した医師は届け出なく…

今日の更新休みます

医師とのつきあい方 その4

次に知っておいて欲しいのは、「疥癬を診たり治療したりしたことのない医師が多い」ということだ。これは疥癬の流行状況に関係している。疥癬は数十年単位で流行の波がある病気であり、前回の流行は終戦直後のごく短期間に性感染症として爆発的に広がった。…

医師とつきあうコツ その3

今回から本題に入る(やっとかよ!)。言うまでもないことだが。疥癬は病気の一種だから、対策のためには医者の協力が不可欠である。あなたにとっても医者にとっても、時間が限られているのはお互い様である。その限られた時間で最大限の効果を引き出すため…

医師とつきあうコツ

makikuniは疥癬問題に関わる中で、病院・保健所・老人ホームなどいろいろなところに伺って疥癬対策の相談に乗ってきた。そのなかで聞いた愚痴の多くは医師の対応に関するものであった。医師の対応に対する不満は「疥癬だと思うのに、患者さんをじっくり見ず…

疥癬対策で医師とつきあうコツ

シルバー新報に掲載した「疥癬パニックからの脱出」は、ひょんなことから始まった連載だった。もともとは同紙の編集者Yさんが「アメリカで老年学を学んできたという、変わった医者がいるらしい」とmakikuniに取材しに来てくださったのがきっかけである。そ…

今日の更新はお休みします。

疥癬パニックからの脱出まとめ方思案中

疥癬パニックからの脱出、そろそろ「シルバー新報」に掲載したストックが終わります。終わった後、makikuniが運営している別サイトにまとめるかどうか思案中です。 ブログは内容の一覧性がいまいちのような気がするので・・・。しばらく仕事が忙しくてじっく…

ツツガムシ

ひょんなことからmakikuniはツツガムシについて調べることになりました。 ツツガムシ病って聞いたことありますか?現在はそんなに頻繁にお目にかかる病気ではありません。どのくらいの頻度かというと、人口200万人強の福島県で年に38人患者さんが出たら発生…

眼科剪刀

疥癬の確定診断は患者さんの皮膚に寄生しているヒゼンダニを検出することで行う。ヒゼンダニは皮膚の角層の中に住んでいるので、皮膚の一部を採取する必要がある(ヒゼンダニの検査の為の皮膚採取は患者さんの皮膚にちょっとした傷を付けるので、医療行為に…

とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス?

とはいえ、疥癬について情報が不足する中で、今まで使ったことのない、しかも毒性が強いという薬をはじめて使ったスタッフの気持ちがわからないでもない。 私も「六一〇ハップとオイラックスでは集団感染はなかなか制圧できない」とアドバイスされ、はじめて…

とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス? その2

γ-BHCは疥癬治療薬の中でも比較的毒性が高く、使用に当たって注意が必要な薬剤である。とは言っても、前述の「上半身/下半身」分割塗りで中毒が防げるという科学的根拠(医学関係では「エビデンス」という言葉が好んで使われる)はない。 こんな方法をとるよ…

とほほ事例2 上半身にγ-BHC、下半身にオイラックス? その1

この事例は以前疥癬対策の混乱状況について調べようと、いろいろな施設の疥癬対策事例を集めていたころ、ある団体の事例検討会の記録で見つけたものである。そのため筆者は、当事者に直接話を伺ったわけではないが、あまりに「独創的」だったので報告させて…

今日の更新休みます

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蔵王に行ってきました

今日はダニの話はお休みです。なぜか無性に田舎蕎麦が食べたくなり、奥羽山脈を越えて山形に行ってきました。帰りは蔵王から遠刈田温泉に抜けて帰ってきました。蔵王の上は沢筋に残雪がまだありました。

トホホな疥癬対策 事例その1 makikuni自身のトホホ(2)

今から思えば、埃なんか見ていないで、患者の皮膚を見て疥癬トンネルがないか見るべきだったのだ。しかし、当時の私は疥癬トンネルを医学図譜でしか見たことがなかったし、長期にわたりオイラックスと六一〇ハップを使用していたためにかぶれてしまった入所…

トホホな疥癬対策 事例1 makikuni自身のトホホ(1)

実はこの事例に筆者が関わり始めたのは騒動の初期からではなく、疥癬騒動が起こってから約2ヶ月が経過してからだった。今から思えばその時点で、オイラックスと六一〇ハップ(前にも書いたが、私は今となっては六一〇ハップを治療薬とは認めていない)を長期…

トホホその2

事例1 患者さんのシーツや居室の床からヒゼンダニを検出しようとした話 これは筆者がはじめて疥癬と接近遭遇したときのことである。連載第一回でも書いたように舞台は1996年の秋、当時勤めていた自治体立の特別養護老人ホームだった。同ホームは開所してま…

トホホな疥癬対策 その1

長々と感染症対策についてかたい話ばっかりしてきたので、ちょっと息抜き(?)を・・・筆者が見聞きした、「う〜ん、気持ちはわかるよ、もっともらしいもんね〜。でも間違っている(or意味がないor効かない)んだよね〜」という、トホホな疥癬対策の事例を挙げ…

感染症対策におけるハウツーの限界 その2

昨日からのつづき。介護職が感染症について医療職に判断を委ね、指示を待とうとしがちなのには、私たち医療職が長い間他職種に対して取ってきたパターナリスティックな態度も関係しているのだろう。他には介護職が感染症をはじめとする医学的知識を学ぶ時間…