医師とのつきあい方 その4

 次に知っておいて欲しいのは、疥癬を診たり治療したりしたことのない医師が多い」ということだ。これは疥癬の流行状況に関係している。疥癬は数十年単位で流行の波がある病気であり、前回の流行は終戦直後のごく短期間に性感染症として爆発的に広がった。その後約20年以上にわたり疥癬は「幻の病気」だった。1970年代半ばからから徐々に復活したが、現在は高齢者施設の入所者と職員、その家族などの「限られた」人々の間での流行であり、今までと流行パターンが異なっている。それゆえ高齢者施設の入所者を診察する機会が少ない大学病院などに勤務する医師には疥癬患者を診たことのない人も多い。皆さん高齢者施設の職員からみると、疥癬は「よくある病気」かもしれないが、ところ変われば病気も違うものなのだ。だから「疥癬なんじゃないかって心配なんですよ」と訴えることが医師に診断のためのヒントを与えることになるかもしれないのだ。