疥癬パニックからの脱出

第8回 疥癬治療薬その1 オイラックスと六一〇ハップ

前回は疥癬の治療に使われる薬に共通する性質を説明した。疥癬の根治療法に使われる薬は殺虫剤であること、かゆみ止めは対症療法であって、疥癬を治す薬ではないことなど、薬を使用する上で知っておいてほしいことをまとめて紹介した。 今回からは、日本で疥…

 第7回疥癬治療薬に共通する特徴

前回は疥癬の原因となるヒゼンダニの弱点について説明し、ヒトから離れたダニはすぐ死んでしまうので洗濯や掃除は疥癬対策の上で重要ではないこと、最優先課題はヒトの体表のダニを疥癬治療薬でたたくことであることを述べた。今回はヒゼンダニをやっつける…

第6回 疥癬を学ぼう その2 弱点はどこだ?

疥癬に罹ると痒くなるのは、皮膚にヒゼンダニがとりついてアレルギー反応が起こるためであることを前回述べた。今回は、疥癬の感染予防対策の前提知識第二弾として、ヒゼンダニの習性と弱点を解説する。疥癬対策に役立ててもらいたい。 掃除や洗濯より、皮膚…

 第5回 疥癬という病気について学ぼう その1 なぜ痒くなるのか?

前回はあなたの勤務する施設で疥癬が見つかった場合の対処法について述べた。疥癬の患者が見つかったら、最優先で行うべきことは、他にも患者がいないかチェックすることである。患者が見つかったら、治療は医師の役割であるから、この連載では細かい説明は…

第4回 疥癬患者が見つかったら

今回は勤務先の施設で疥癬患者がみつかったら、どのような対策を取ればよいか?について書いてみたい。このお題は現在makikuniが三年計画で実施中の研究テーマそのものなので、まだ十分まとまっているわけではないし、ここに書ききれるような分量・内容では…

角化型疥癬について理解しよう

今回は前回に引き続き角化型(ノルウェー)疥癬について解説する。 集団感染の陰に角化型疥癬あり 前回、普通疥癬というのは一晩一緒に寝るほど親密にしないと感染(うつ)らないと書いた。そんなに感染(うつ)りにくい疥癬がどうして多くの老人ホームで集団発…

なぜ普通の疥癬と角化型疥癬を区別しなくてはならないか?

角化型疥癬と普通の疥癬では、一人の患者さんに寄生しているダニの数が違うから、感染力も大きく異なる*1。普通の疥癬は、一晩一緒に寝るくらい親密な接触をしないとうつらない*2が、角化型疥癬では老人ホームの同室者や介護者に簡単に感染してしまう。だか…

第二回 角化型疥癬を理解しよう その1

疥癬対策に誤解が横行する理由のひとつは、感染力の強い角化型(ノルウェー)疥癬とそれ以外の普通の疥癬(普通の疥癬という医学用語はないが、便宜上こう呼ぶ)があることが良く理解されていないことだ。角化型疥癬と普通の疥癬では対策が大きく異なるので…

 イントロダクション

介護施設で最も警戒されている感染症といえば真っ先に挙げられるのが「疥癬」だろう。患者が出て施設が大混乱、医療機関の受診さえ拒否されたなどという悲惨な例も後を絶たない。疥癬の発生そのものより、疥癬に対する間違った知識や対策の方が混乱の原因と…

 もくじ

「疥癬パニックからの脱出」は2004年にシルバー新報の2月6日号から7月23日号まで連載した読み物記事です。担当編集者の方に掲載許可を頂いて、加筆修正を加えつつ、このブログ上にアップしていく予定です。シルバー新報掲載当時の対象読者は介護施設に働く方…

(序章)

ネット上で「うちの施設で疥癬出ちゃったよ困るよ」という趣旨の書き込みをたまに見ます。文面から集団感染と思われる事例なのに、主たる対策は六一〇ハップとオイラックス・・・、確かに大変だろうと思います。もっと良い解決策があるのになあ。と、もどか…