感想1「ケース検討会」

「はじめての精神科」、読むのを迷われている方は、236ページからの索引をご覧になることをお薦めします。「ICD-10」とか「せん妄」とかの精神医学の専門用語に混じって「気合いで乗り切る」とか「なんでもあり」とかの口語が並んでいます。この索引を見て「なんて不真面目な」とか「わけわかんない」と思われた方は他の書籍を当たられることをお薦めします。「イケてる!」と思えた方は、きっと得られるものがあるでしょう。Amazonの書評で、「援助歴が少ない援助職にはすすめられない」とありましたが、そうかもしれません。
私はp225のケース検討会の項の

『今のところは無理』、『うまいやり方なんてない』といった状況であるなら、それを皆ではっきりと認識し確認することの大切さは、いくら強調しても足りない

との記述を読んではっとさせられました。実は市の高齢者虐待の事例検討会でファシリテーターをやることになりました。私は以前に虐待の事例検討会に継続して出た経験はあるのですが、あくまで一参加者としてであり、ファシリテーターがつとまるのか悩んでいましたが、「この事例は難しいね、う〜ん」と皆で頭を抱える体験を共有することにも意義がある、という見方があることに気が付き、気が楽になりました。
 夜は地元医師会主催の在宅医療福祉事例検討会(長い)で、白峰クリニックの市川先生をお呼びして「アディクション、家族システムの観点から事例を見る」というタイトルでご講演頂きました。高齢者虐待を含む対処困難事例にアプローチするための予備知識です。参加者があまりに熱心に聞いていたため、ほんとに伝わったのか?わかってもらったのか?と講師の市川先生が心配されるほどでしたが、ご心配なく、静かだったのは「自分の原家族、クライアントに思いをはせていて引き込まれていたから」と言ってました。